ASMRtistも要注意?!YouTuberの著作権侵害について詳しく解説する!

icatch0092

今回は、YouTubeにおける著作権侵害について解説したいと思います。

ケンタ

ぶっちゃけ著作権ってそんなに大事?って思うけど、収益化するならちゃんと知っておいたほうがいいのかな・・・その辺詳しく教えて。

セリカ

できるだけわかりやすいように具体例を挙げて解説するね。

この記事を読むと、著作権侵害の危険性を理解できるため、かなりの確率でトラブルを回避できると思います。

記事の信頼性

私は2014年頃からASMRにハマっています。毎晩YouTubeでASMR動画を漁りまくっていたら、勝手に詳しくなってしまいました。

今までに4,000本以上のASMR動画を観てきました。(動画の途中で視聴を止めたのを含めると3倍以上は観てるかも・・・)

なので、わりと信頼性は担保できていると思います。

読者さんへ前置きメッセージ

この記事は、「主にASMRコンテンツをYouTubeに投稿して収益を得ようと思っている人」に向けて書いています。

尚、私は法律の専門家ではありませんので、もし明らかな間違いなどがありましたらご連絡いただけると幸いです。

では、最後までお付き合いください。

記事のテーマ
ASMRtistも要注意?!YouTuberの著作権侵害について詳しく解説する!

ASMRtistまたはこれからASMRtistになりたい方に、この記事の趣旨が間違って伝わらないように、まず最初に基本スタンスを申し上げておきます。

この記事でお伝えしたいことは「どこまでが著作権侵害にならないか」ではなく、「著作権侵害になりそうなものに手を出さない」、つまり「君子危うきに近寄らず」ということです。

ネル

難しくてわからないニャ・・・
君子危うきに近寄らず
教養があり賢い人は一時の感情や欲望に流されず、常に的確な判断力と慎み深い心を持ち、あえて危険なところには近づかないものである

それでは、ASMRコンテンツにおいて著作権侵害が発生してしまう可能性があるケースについて、具体例を挙げて解説していきます。

  ささやきゲーム実況

icatch0093

日本が世界に誇る文化であるアニメ・ゲーム・漫画などには、その原作となる創作物に登場するキャラクターを利用した「二次創作物」が多く含まれます。

セリカ

ささやきゲーム実況動画はこの「二次創作物」にあたると考えられます。

「二次創作物」は原作の熱心なファンの活動として日本では割と寛容的に扱われていますが、法律上では原作に著作権が存在していることに変わりはありません

しかし、アナログ時代の二次創作物(同人誌等)の文化は、ある程度限られた人や場所(コミケ等)によるものであったため、これまでは黙認されてきました

しかし、デジタル時代に突入した現在では、YouTubeなどのプラットフォームを利用することで、個人が全世界へ一瞬にして二次創作物を発表することができるようになったため、著作者が黙認できないケースが増えてきているのが実情です。

つまり、今まで日本では多くの二次創作物は黙認されてきましたが、著作者が積極的に著作権侵害を主張する可能性が出てきているということをまずは理解する必要があります。

さて、ではここで最近発売されて話題になっているゲームの著作権について考えてみましょう。

まずひとつは任天堂株式会社から発売された「あつまれ どうぶつの森」です。

セリカ

あつ森の実況動画をYouTubeに投稿するのは著作権侵害になると思う?

ケンタ

あつ森の実況動画ってかなりたくさん投稿されてるよね?だから問題ないんじゃないの?

任天堂が著作権を有する作品を動画共有サイトへ投稿すること、またそれによって収益を得ることについては、任天堂が定めた「ネットワークサービスにおける任天堂の著作物の利用に関するガイドライン」に、任天堂は著作権侵害を主張しないと記載されています。

つまり、YouTubeにあつ森の実況動画を投稿しても著作権侵害にはならないということです。

ただし、収益化システムは以下を利用する場合に限られます。

  • Facebookの「Facebook Game Streamer」および「Facebook Level Up Program」
  • ニコニコ動画/生放送の「クリエイター奨励プログラム」および「ニコニコチャンネル」
  • OPENREC.tvの「OPENREC Creators Program」
  • Twitchの「Twitchアフィリエイトプログラム」および「Twitchパートナープログラム」
  • Twitterの「Amplify Publisher Program」
  • YouTubeの「YouTubeパートナープログラム」
  • TwitCasting の「ツイキャス・マネタイズ」内の「アイテム収益」「動画収益」
  • Mirrativの「ギフト」

ケンタ

うわっ!これ以外で収益を得たら著作権侵害になるのか!

では、株式会社スクウェア・エニックスから発売された「FINAL FANTASY VII REMAKE」はどうでしょう?

ケンタ

任天堂と同じようにガイドラインがあるのかな?

スクウェア・エニックスの場合、任天堂と大きく違うのは、作品ごとに個別のガイドラインがあるということです。

セリカ

つまり、作品によっては実況動画NGの場合もあるってことなの

因みに、『FINAL FANTASY VII REMAKE』著作物利用許諾条件によると、ゲーム実況動画を投稿することは認められているものの、以下の権利表記を掲載することが条件となっています。

< 権利表記1 >
記載されている会社名・製品名・システム名などは、各社の商標、または登録商標です。

 

< 権利表記2 >
© 1997, 2020 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved.
CHARACTER DESIGN: TETSUYA NOMURA / ROBERTO FERRARI
LOGO ILLUSTRATION:©1997 YOSHITAKA AMANO

 

『FINAL FANTASY VII REMAKE』著作物利用許諾条件より抜粋

しかし、実際に投稿されている動画の概要欄を確認すると、権利表記を掲載せず著作権を侵害している人が多くいました。

こういった著作権に対する意識の低さは、日本特有の二次創作文化によって培われてしまったものですが、今後は改善していかなくてはならないでしょう。

  BGM・効果音の使用

icatch0094

著作権侵害でトラブルになる可能性が一番高いのが、BGMや効果音です。

皆さんご存知の通り、音楽(効果音含む)には著作権が存在するため、自作した動画に自分以外が作った曲を勝手に使用すると著作権侵害になります。

ケンタ

それくらいは俺だって知ってるよ!古いクラシック曲は著作権が切れてるから自由に使ってもいいんだろ?

セリカ

とんでもない!クラシック曲だからって大丈夫とは限らないよ!

音楽に関する著作権はとても複雑で、誤解されていることが多くトラブルの原因になりやすいので注意が必要です。

わかりやすい例として、こちらの動画をご覧ください。

 

人気チャンネル「パオパオチャンネル」の「恋ダンス踊ってみた」ですが、果たしてこの動画は著作権をクリアしているのでしょうか?

ケンタ

これはアウトでしょ!だって星野源の曲(恋)を使っちゃってるもんな!!

たしかに星野源さんの「恋」という楽曲は、JASRAC(ジャスラック)が著作権を管理していますので、本来この曲を使用するにはJASRACに許諾を得なければ著作権侵害に該当するのが原則です。しかし、この動画の概要欄にはJASRACに許諾を得た旨はどこにも記載されていません。

JASRACとは
JASRAC(一般社団法人日本音楽著作権協会)は、音楽著作権の集中管理事業を日本国内において営む一般社団法人です。

ですが、結論から言うとこの動画は著作権侵害には該当しません

なぜなら、YouTube側がJASRACと包括的に許諾契約を締結しているからです。つまり、動画の投稿者が個別に許諾を得なくても、JASRAC管理楽曲を含む動画をアップロードすることができるということです。

ケンタ

なるほど!さすがYouTubeだな!!

ただし、ここからが音楽の著作権の難しいところなのですが、YouTubeがJASRACと交わしているのはあくまでも「著作権」に関する許諾契約なので、演奏や音源に関するミュージシャンやレコード会社の権利(著作隣接権)は全く別ということになります。

ここでもう一度、先ほどの動画を視聴してみてください。演奏も歌唱も本家の星野源さんとは違う音源が使用されていることがわかると思います。

そして動画の概要欄には、しっかりと音源の著作者が記載されています。

音源:Sou様

ケンタ

あっなるほど!このSouって人に音源を使う許可をもらってるからこの動画は問題ないってことか!!

クラシック曲についても、曲の著作権が切れていたとしても演奏や音源に関する権利(著作隣接権)が発生する可能性があります。

このように、自分以外が制作した楽曲を動画に使用する場合は、事前にしっかりと確認する必要があることを認識しましょう。

因みに、前項で紹介した「任天堂の著作物の利用に関するガイドライン」と『FINAL FANTASY VII REMAKE著作物利用許諾条件には、どちらも音楽データのみの掲載および音楽の視聴を主目的と捉えられる動画等の掲載は禁止されています

つまり、楽曲だけ切り離して使用することは著作権侵害にあたる可能性が高いということです。

また、楽曲をアレンジするには著作者人格権や翻案権の許諾が別途必要となりますので、こちらも十分に注意するようにしましょう。

ネル

ネルにはちんぷんかんぷんニャ・・・

  絵本や童話の朗読

icatch0095

絵本や童話が著作権を有する作品だった場合、これを朗読したものをYouTubeに投稿することは著作権の侵害にあたります。

ケンタ

朗読するだけで映像を流さなくてもダメなの?

セリカ

音声だけのコンテンツも著作権侵害に該当するよ。

ただし、著作者の死後70年以上が経過して、著作権が消滅した作品(パブリックドメイン)であれば問題はありません。

宮沢賢治の銀河鉄道の夜はパブリックドメインです。

 

パブリックドメインを探すなら、青空文庫がオススメです。

青空文庫には、著作権の保護期間が切れた作品が1万点以上収録されています。ジャンルは小説、詩歌、随筆といった文学のみならず、回想録、講演録、人物伝、追悼文、論文など幅広く収録されています。

  画像の使用

icatch0096

著作権を有する画像を動画内で使用することは著作権の侵害にあたります。

ケンタ

フリー素材だったら良いんだろ?

フリー素材を著作権を放棄した完全に自由に使える素材と捉えている方もいるかも知れませんが、これは誤りです。

例えば、ほのぼのとした可愛らしい画像素材で有名な「いらすとや」さんはどうでしょうか?

copyright001

ケンタ

あっ!!このタッチの画像よく見かける!!フリー素材だよね!!

「いらすとや」の利用規定には、「著作権は放棄しておりません」とはっきり記載されています。つまり、フリー素材だからと言って著作権を放棄しているとは限らないのです。

ですから、たとえフリー素材であっても、利用規約に必ず目を通すようにしましょう。

注意するべきは、加工が認められているかどうか、クレジット表記や掲載元へのリンク表示の義務、商用目的の使用可否についてです。

特にYouTubeで収益化している人、またはこれから収益化したいと思っている人は商用目的の使用可否についての確認が必須です。

因みに、ASMR倶楽部を例に挙げると、ブログ内で使用しているアイキャッチ画像は、全てShutterstock(シャッターストック)という画像プラットフォームに収録されている商業目的での使用が可能な有料素材になります。また、顔のアイコンはプロの方に発注して制作していただいたものです。

セリカ

ひと月に画像50点まで使用出来る定額プランで、¥15,000/月です!

ネル

CIAOちゅ~るがいっぱい買えるニャー!!

  商標権について

icatch0097

セリカ

ディズニーキャラクターのぬいぐるみを使って即興劇をする動画をYouTubeに投稿するのは問題ないと思う?

ケンタ

別にいいんじゃない?自分が持ってるぬいぐるみをどう使おうが勝手だろ?

ミッキーやアンパンマンなどのキャラクターを使ったぬいぐるみや玩具等の工業製品は「商標権」によって保護されています。商標権には映画・演芸・演劇などの企画、制作、上映も含まれています。

単にキャラクター商品の紹介をするだけの場合など、程度の差はあれど商標登録されたキャラクターを使った動画を許可なくYouTubeに投稿することは商標権の侵害にあたる可能性があります。

ですから、チャンネルを収益化している場合は特に注意が必要です。

著作権や商標権に厳しい企業やキャラクターとして、ディズニー、サンリオ、円谷プロ(ウルトラマン)、アンパンマン関連、が有名です。

ネル

ネルのぬいぐるみ作ってもいいニャ!!

ケンタ

それ!ぜんぜん欲しくねぇな!!

ネル

どうしてニャ~

  著作権侵害の罰則

icatch0098

著作権侵害は「親告罪」と言って著作者が黙認している限りは罪に問われることはありませんが、立派な犯罪です。

刑事罰なら10年以内の懲役、もしくは1,000万円以内の罰金になります。民事の場合は損害に応じた損害賠償請求になります。

ケンタ

こわっ!!金額によっては一発で人生が詰む・・・

YouTubeのペナルティには、「収益化停止」「動画削除」「チャンネル削除」「アドセンスアカウント剥奪」などがあります。

今後YouTubeにおいて、著作権侵害に対するペナルティは間違いなく厳しくなっていくでしょう。

それが証拠に、チャンネルの収益化はYouTubeが定める収益化の条件に達していても、著作権侵害を含むコンテンツが一つでも投稿されている場合(限定公開含む)、収益化の申請が通らない確率が高いと言われています。

  まとめ

いかがでしたか?著作権侵害の危険性をご理解いただけたでしょうか。

ひと昔前、有名なYouTuberたちは「商品紹介」の動画を数多く投稿していました。しかし最近はあまり見かけなくなったのはなぜでしょう。

ケンタ

有名になってテレビ出演とかで忙しくなったからだろ?

恐らくこれはYouTuberの影響力やインターネット広告の有用性に気づいた企業が、著作権や商標権などの権利を主張するようになったからだと思われます。

これによって、著作権や商標権をうっかり侵害してしまい、莫大な損害賠償請求を受ける可能性が出てきたため、有名YouTuberたちは、ひと昔前のように気軽に商品紹介ができなくなったのではないでしょうか。

このことからも分かる通り、記事の冒頭でも言いましたが、安全に長くチャンネルを運営していくためには「どこまでが著作権侵害にならないか」ではなく「著作権侵害になりそうなものに手を出さない」という考えをもつことが大切です。

そして、動画はお金を稼ぐ道具ではなく「資産」という考え方を持つようにしましょう。

資産の中にもし「盗品」が紛れていたら、他の大部分があなたの物でも、厳しい罰則を受けることになってしまいます。

 

あなたのチャンネルが常に健全で、長く愛されるチャンネルになると良いですね。応援しています。

 

最後に、TwitterでASMR関連の最新情報のお届けしていますので、もしよければフォローしてくれると嬉しいです。

最後までお付き合いいただきありがとうございました。